魚のヒレ骨の発生において、コラーゲンからなる細胞外針状素材(アクチノトリキア)を把持・整列させる間葉系細胞の力学モデルを構築し、シミュレーションを行った。細胞の形態をポリゴン膜で表現したモデルシステムを採用し、剛体棒であるアクチノトリキア細胞に相互作用を定めるポテンシャルエネルギーを導入して、モンテカルロシミュレーターを構築した。 この膜シミュレーターを用いて、どのような物理条件において細胞が針状素材を制御しうるか系統的に調査した。結果、細胞が基質および針に接着する力が重要で、その力の比が適切な範囲にあるとき、細胞は複数の針を整列させることを示した。また、膜と針とが均質に接着するモデルに比べ、膜上に針との接着を媒介する分子の分布を導入したモデルは、よりロバストな振舞を示し、広いパラメタ範囲や物理条件で針状素材を整列させることを示した。特に、In Vitroでの細胞とアクチノトリキアの動態を再現するためには、分子分布を導入したモデルが適切であることが分かった。さらに、実際の細胞における力学との比較法の検討を行った。
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