本研究では、投影光によって実物の反射特性・形状を制御する現実拡張型の質感操作技術を構築することを目的とする研究を実施した。 具体的に、反射特性の制御については、外部刺激で色が変化するクロミックインクを塗布した投影対象に対し、紫外線パターンを可視映像に重畳して投影することで高コントラスト投影を実現した。 形状の制御については、液相-気相転移アクチュエータアレイを作成し、CO2レーザー走査による赤外熱投影によってそれらの変形を空間的に制御する枠組みを構築した。 さらに形状の制御に関して、領域内共同研究により加熱により液晶構造が変わり収縮する柔軟素材である液晶エラストマー素材を、熱投影により自在に変形させる技術開発にも取り組んだ。 これらの成果は、従来の映像に依存した視覚的質感表現より自由度の高い質感操作を実現する上で重要な設計指針を与えるものである。
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