公募研究
カテゴリー認知は、思考、カテゴリー化、推論のための重要な認知機能である。分類の神経機構を理解するために、非ヒトのモデルが用いられてきた。しかし、サルが言語を介さずにどのように物体を分類しているかは不明である。そこで我々は、色の識別、空間周波数の識別、顔の認識など、低次から高次までの様々な認知機能を反映することが報告されているサルの視線行動に着目した。サルの視線行動が物体カテゴリーを表現しているかはこれまで不明であった。また、サルの電気生理学的研究により、下側頭葉皮質(ITC)や前頭前野(PFC)が、識別課題を用いた知覚カテゴリーに関与することが報告されている。本研究では、自然なカテゴリー分けの行動と自然な結果を明らかにするために、長期の認知訓練を必要とせず、個体の自然な認知機能を評価することができる選好注視法を用いた。12種類のカテゴリー、合計12,000枚以上の刺激画像を用いた。サルの視線を分析し、自由視聴条件下でのITCとPFCのElectrocorticogramsを同時に記録した。サルが提示画像に対して優先的に見ることが確認された。これらの指標を対象物のカテゴリーごとに並べると、多くのカテゴリーの組み合わせで偏りが生じることがわかった。シャッフルすることで偏りが解消され、ランダムな偏りでないことがわかった。また、Deepgazeを用いた顕著性分布による偏りの比較も行った。Deepgazeでは、各カテゴリー画像に関するカテゴリー的な構成は持っていない。これらの結果は、サルの視線行動がカテゴリー認識を反映していることを示唆している。また、自然画像提示期間中の神経活動が注視行動を反映しているかどうかを検討した。優先的な注視が観察された試行と観察されなかった試行の平均活動量を比較した。その結果、ITCとPFCの両方の神経活動が注視行動の選好性を反映することが示唆された。
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nat Commun.
巻: 14(1):971 ページ: 1-11
10.1038/s41467-023-36642-6