研究領域 | 実世界の奥深い質感情報の分析と生成 |
研究課題/領域番号 |
21H05827
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
楊 家家 岡山大学, ヘルスシステム統合科学学域, 研究准教授 (30601588)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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キーワード | レイヤーfMRI / 心地よい触感 |
研究実績の概要 |
触り心地を制御することにより,心を満たす上質な製品の設計を可能とするため,ヒトの「心地よい触感」を生み出すメカニズムの解明が望まれている。一方,触り心地は,対象の表面粗さ,摩擦や硬さなどの複雑な物性とヒトの感覚が相互作用によって形成されると考えられるが,ヒトがどのようなメカニズムで「心地よい触感」を感じるかは未だ謎である。本研究では,対象の柔らかさに焦点を当てて,最新のレイヤーfMRI技術を駆使し,「心地よい触感」を生み出すヒトの多階層な脳内神経機構を明らかにすることを目指している。 2021年度では,まずヒトの指先と同程度の柔らかさを中心としてより柔らかいと硬いシリコンゴム刺激を作製した。次に,触り方(一本指で押し込むと三本指でつまむ)によって対象の触り心地良さと柔らかさの評価実験を実施し,心地良さと対象柔らかさの関係を明らかにし,触り心地の評価は触り方に依存していることもわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度では,まずヒトの指先と同程度の柔らかさを中心としてより柔らかいと硬いシリコンゴム刺激を作製した。次に,触り方(一本指で押し込むと三本指でつまむ)によって対象の触り心地良さと柔らかさの評価実験を実施し,心地良さと対象柔らかさの関係を明らかにした。また,触り心地の評価は触り方に依存していることもわかった。これらの結果は次年度に予定しているレイヤーfMRI実験の設計に不可欠であり,柔らかさ刺激がMRI環境にも使用可能であるため,おおよそ予定している成果が得られた。本研究課題は概ね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度では,前年度の触り心地評価実験の結果を元に,心地よい触感の判断に関わる全脳処理ネットワークを同定する。次に,心地よい触感を生み出すに重要な役割を果たす高次皮質を選定し,レイヤーfMRI実験の基礎仮説モデルを提案する。最後に,心地よい触感形成に関する全脳処理機構を照合しながら,レイヤーfMRIデータと層間情報処理モデルを比較・検証し,心地よい触感形成の各過程における多階層の脳活動を統合的に検討する。
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