研究実績の概要 |
点滴導入時の末梢静脈穿刺に際に、熟練看護師が目視できない穿刺困難な静脈を触診する動作について、指の接触時の力および位置(姿勢)を計測し、探り当てた静脈を超音波画像で測定し、新人看護師と比較し、穿刺困難な静脈の触診技術を数値的に解明することを目的とした。熟練看護師および新人看護師が対応する穿刺困難な末梢静脈血管モデル( D-PIVA )/患者役(一般人)は、18歳以上~65歳未満の女性を限定し、末梢静脈穿刺(採血、PIVC)で失敗された経験、もしくは、穿刺が困難と言われた経験があり、アルコール消毒のアレルギー反応がなく、安全確保のため、循環器疾患、血液疾患、血管障害、上肢に怪我があり、治療中の方や、過去に採血 (献血含む) 、静脈内注射や点滴等で、迷走神経反射などにより医療機関を受診し、治療するほどの症状が生じたことのある方は除外した。 R3年10月に科研交付が決定し,学内の高額機器の機種選定委員会の審議を経て、主要な計測器であるHaplog接触力ウェラブルセンサーシステム一式を発注したが,新型コロナの影響により1月下旬に納品された。機器の調整ならびにセンサの増設(幅14㎜サイズ)、実験プロトコルの策定作業の途上で、2月に新型コロナの感染拡大が顕著となり,研究者等の移動制限が生じ、熟練看護師、新人看護師、患者(役)の3者の測定の安全性および実現性の確認作業が滞った。令和4年10月に倫理審査承認を受け、患者役、新人看護師、熟練看護師として延べ21人の協力を得て、令和4年10月に1件、令和5年3月までに7件実施した。 結果、末梢静脈穿刺部位の選定(触診)時間は、熟練看護師(n=8)平均59秒に対し、新人看護師(n=8)平均95秒と倍増した。熟練看護師の触診時の荷重は新人看護師よりも少なく均一でスムーズな動きをしていた。両者間の表皮からの末梢静脈の深さ、血管断面積に差は無かった。
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