昨年度に引き続き,本年度も「入札者の代替的評価関数を正確に表現する重み付き評価値ベクトル集合を求める」という課題に取り組んだ.特に,正の重み付き評価値ベクトルのみで表現可能な評価関数のクラスに注目し,財が2つのみの場合に注目して研究をすすめ,そのような評価関数に対する多面体構造とアルゴリズムの研究のまとめを行った.また,その成果を幾つかの学会・研究会等で発表し,他の研究者から有用なコメントを得ることができた.本研究においては,正の重み付き評価値ベクトルのみで表現可能な評価関数に対して,その表現方法を求めることに注目していたが,表現不可能な評価関数に対して,今回注目したクラスの評価関数を用いて近似的に表現することは可能か,という課題にも取り組みたい.これにより,扱う問題をより現実的な設定に近づけられると考えている.現時点ではまだ検討中であり,特記すべき結果は得られていないが,今後継続して取り組んでいく予定である.また,これまでは財の数が2個の場合に限定して議論を進めてきたが,財の数がより多い場合についても検討を進める予定である.
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