研究領域 | 分子サイバネティクス ー化学の力によるミニマル人工脳の構築 |
研究課題/領域番号 |
21H05884
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
今任 景一 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (80777970)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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キーワード | DNA / 分子マシン / 分子スイッチ / 高分子化学 / 光化学 |
研究実績の概要 |
本研究では、アゾベンゼン(AB)に代表される従来の光応答性の分子マシン以上に光異性化に伴って大きな構造変化を起こし、さらにABとは異なって熱安定性にも優れる(相対的に不安定なZ体の室温半減期 = 約1000年)、研究代表者らが新たに見出した分子マシンのヒンダードスティッフスチルベン(HSS)を用いて、DNAの構造(二重らせん構造や高次構造)と構造に由来する機能(配列情報の複製・転写や生体分子との相互作用など)を精密に光制御することを目的としている。 初年度はDNAの構造制御について、【A】超分子相互作用の利用と【B】リン酸主鎖骨格への導入という2つのアプローチから取り組んだ。【A】超分子相互作用の利用は最もシンプルで簡便な方法であり、共有結合を介さずにHSSとDNA間の超分子的な相互作用を介してDNAを外から操作し、構造を制御する。負電荷を帯びたDNAのリン酸主鎖骨格と相互作用できる両末端に第4級のアンモニウムカチオンを有するHSSを市販試薬から6段階の反応で合成した。また、得られたHSSが多くの有機溶媒に不溶な一方、水に可溶なことを確認した。【B】リン酸主鎖骨格への導入では、共有結合を介してHSSをDNAのリン酸主鎖骨格中に導入し、DNAの構造を制御する。現在、領域内の研究協力者とともに、DNAへの導入に必要なHSSの修飾(アミダイト化)を施している。また【A】と【B】ともに構造制御の対象となるDNAを研究協力者と相談して設計し、一部は購入した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画を申請した当初の予定通りに進んでいる。研究代表者にはDNAへのHSSの導入やDNAの取り扱い・評価などに関する技術・ノウハウはなかったが、領域内の研究協力者のご協力により、スムーズに取り組めている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も引き続き、【A】と【B】の2つのアプローチからDNAの構造制御とさらにDNAの機能制御にも取り組む。また、合成した水溶性HSSの基礎的な評価(光異性化や熱異性化など)も実施する。
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備考 |
有機合成化学協会 令和3年度DIC研究企画賞(今任景一) 第36回中国四国地区高分子若手研究会 ポスター発表の部 支部長賞(石井祥)
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