研究領域 | 分子サイバネティクス ー化学の力によるミニマル人工脳の構築 |
研究課題/領域番号 |
21H05892
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
曽和 義幸 法政大学, 生命科学部, 教授 (10519440)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2023-03-31
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キーワード | べん毛 / リポソーム |
研究実績の概要 |
ミニマル人工脳の構成要素であるリポソームを人為的に変形誘導するための分子アクチュエーションシステムとして,細菌べん毛の多型変換の応用を目指している.本年度は,蛍光染色・単離したべん毛繊維を界面通過法でリポソームに内包させることをおこなった.大腸菌やサルモネラ菌の培養液の洗浄と蛍光色素の添加をおこない,強く震とうすることでべん毛繊維を細胞から取り外し,遠心分離をすることでべん毛繊維のみを単離精製した.まず外環境のpHを変化させることで,蛍光標識したべん毛繊維の形状がノーマル型からコイル型・カーリー型へと多型変換する様子を蛍光観察できた.サルモネラ菌の多型変換については過去に高輝度暗視野顕微鏡を用いた多くの研究がされており,その結果と比較したところ,定性的ではあるが一致することがわかった.すなわち,蛍光染色による多型変換能への影響は小さいものと考えられる.つぎに,べん毛繊維と異なる蛍光色素で染色した脂質分子を用い,界面通過法で内液にべん毛繊維が含まれるようにリポソームを作製した.その結果,らせん形状のべん毛がリポソーム内でブラウン運動する様子を蛍光顕微鏡で観察することができた.ただし,リポソームに含まれるべん毛の本数や長さは,今後リポソームを変形するに当たって改善する必要がある.現在はべん毛繊維の精製効率を上げて,より効率的にべん毛繊維をリポソームに内包させる条件を見いだすことを目指している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リポソームに蛍光染色したべん毛を内包させることに成功できたため,当初の予定通り順調に遂行できていると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
べん毛繊維の濃度を上げ,リポソームに効率よく含まれるようにプロトコールの修正を行う.リポソーム内液の環境を変化させてべん毛多型変換をおこさせ,リポソームの変形を誘導する.また,多型変換を小さなpH変化等で誘導させるために変異型べん毛の単離をおこなう.
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