昨年度までにNd:LuLiF4結晶を窓材に使用した検出器により、開発の目標であったX線(光子)での二次元イメージング取得に初めて成功しており、より検出効率を上昇させるためには光電面の量子効率を改善させる必要がある。そのために、反射型CsI光電面の最適化を浜松ホトニクス(株)に依頼し、大幅に量子効率の向上が期待できるものを製作した。また、これまでアルゴンをベースにしたガスを用いていたが、より電子放出確率が見込めるネオンをベースにしたガスを導入することを決めた。これらの効果を見極めるためには、確実な評価系を構築して、systematicな測定行うことが不可欠であり、そのための技術開発に注力した。 (1)量子効率がすでに分かっている光電子増倍管を評価対象として、ガス検出器で使用するエレクトロニクスを用い量子効率を測定する手法を開発した。180nm程度の真空紫外領域に感度のあるバイアルカリ光電面とCsI光電面を持った光電子増倍管二つそれぞれの量子効率をNd:LuF3結晶を光源とすることで求め、浜松ホトニクスの測定結果と一致することを確認した。 (2)ガスの入れ替えや、何種類もの光電面を評価するにはガスの純度をモニターしておく必要がある。さらに長期安定性の試験を行うためには、ガスの純度を測定期間保っておく必要がある。そこでゲッターポンプ(SAES CapaciTorr D400-2)を導入、ネオンベースのガスを1.2L/分で循環させることで、ガス中の水分量を二桁以上抑制することに成功した。
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