公募研究
すばる望遠鏡の次期主焦点広視野可視光カメラ(Hyper Suprime-Cam ; HSC)を用いた、宇宙最遠方のクエーサー(明るい活動銀河中心核;質量降着している超巨大ブラックホールによって莫大な放射エネルギーが生成されている天体)の探査の戦略をより定量的に練った。成果は、2010年9月の東北大学での研究会にて発表(招待講演)した。2012年後半のHSCの実際の観測開始に備えて、迅速に成果を出すための体制を整えている。具体的には、HSCに実際に搭載される予定のフィルターの透過率の波長依存性のデータを用い、宇宙最遠方のクエーサーを観測した場合の色が、大きな汚染源となる銀河系内の低温の星とどう分離できるかの詳細な計算をした。HSCの撮像観測で見つかるのは、あくまでも宇宙最遠方のクエーサー“候補”であり、分光観測によって、その候補天体が本物であることを確認しなければならない。赤方偏移が7付近のクエーサー候補に関しては、期待値もさほど大きくないため、既存の分光器で分光追観測を現実的に実施可能である。しかし、HSCサーベイで見つかる、赤方偏移が3-6のクエーサー候補に関しては、数密度の期待値が大きすぎて、ごく一部の候補しか分光追観測することができないと見込まれている。日本で検討が始まったすばる望遠鏡主焦点広視野分光器(Prime Focus Spectrograph ; PFS)は、本分光追観測の目的に非常に強力であり、HSCサーベイと併せて研究戦略を立てる必要がある。2010年9月、12月のPFS研究会にて、宇宙最遠方クエーサー研究の発表(招待講演)を行うと共に、PFSのwhite paper(期待される科学成果)のクエーサーの項を執筆した。
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http://optik2.mtk.nao.ac.jp/~imanishi/research/research_recent.html