平成22年度は、本研究の1年目なので、まず2010年6月に研究支援員1名(山野井)の雇用を開始した。この研究支援員に対して、天文学におけるデータベースの役割や実際のソフトウェアの実装方法、利用のされ方などについて、高田、古澤を中心として教育を行った。雇用した研究支援員は比較的天文観測およびデータ処理に経験が豊富であったため、理解も早く、すぐにフリーソフトであるデータベース管理ソフトウェア(以下、DBMS)を用いて、小規模な天文データベースの構築およびデータ検索ソフトウェアの作成に成功した。2010年10月以降はHSCの大量のデータをどのように格納・管理するかを考慮した、詳細なデータベースシステムの概念設計(プロトタイプシステムの設計)を行った。この時に、SDSSなどの既存の大規模探査を支える天文精報データベースなどについて、その構造やデータ管理、.運用方法などをより詳細に調査するほか、科学的成果を最大限に引き出すための天文情報データベースシステムについての知識を蓄積することもあわせて行った。基本ソフトウェアの作成については、HSCデータ解析パイプラインソフトウェアとの親和性も十分に考慮し、Pythonを中心としたプログラミングを行った。その成果として、広域宇宙探査が行われたときの探査の進行状況を即時に表示するためのシステムの構築に取り組み、現在想定されている探査計画に基づいたデータベース情報を擬似的に作成し、その情報を用いてHEALPixインデックスを用いた探査達成度マップ作成ソフトウェアの基本部分を作成し、2011年3月の天文学会および研究会で山野井が発表した。
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