研究概要 |
二十面体構造をベースとした半導体であるホウ素結晶において超伝導物質探索を行っている。探索にあたり,この系における相図がわかっておらず実験は手探り状態であったが,我々は相図を理論的に作成するところから出発した。これにより、物質合成の拠りどころが築かれた。α相とβ相の違いが密度に基づくものであることを明らかにした。同時に,この系の付近で次々と新物質(γ相やダイヤモンド構造BC_5)が発見されているが、その相図予測の重要性が改めて認識されるに至っている。この先導的功績が認められ、レビューを著した[1]。 著者は実験グループとα相の超伝導探索で共同研究を行っているが、ようやくα相の高圧での超伝導が発見されるに至っている。α相を題材に選んだお陰で、物理の解明は大きく進んだ[2,3]。金属化の機構は、相転移を伴わない直接的なバンドオーバーラップによるものであること。他の半導体と違って、構造転移を伴わない金属化は、二十面体のflexibilityによるものであること。さらに電気抵抗の圧力依存性にしばしば現われるくびれの解釈は、構造転移を示すものではなく、バンドのbowingによるものであることを解明した。 [1]K.Shirai, J.Superhard Materials, 32 (2010) 205 ; 32 (2010) 336. [2]K.Shirai, J.Phys.Soc.Jpn.78, (2009) 094714. [3] K.Shirai, in submission
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