研究概要 |
本研究では、1.共有結合性ネットワークの次元性・伝導性と超伝導、2.共有結合性ワイドバンドギャップ半導体の超伝導化という2つの観点から新規超伝導物質探索を行った。 1.共有結合性ネットワークの次元性・伝導性と超伝導 軽元素(炭素)によるダイマー及びトリマー構造を有する希土類金属化合物に着目し、Sc-M-C,Lu-M-C(M:13,14族元素)の三元素系における新規超伝導物質探索を行った。その結果、Sc-Ge-C,Sc-B-CにおいてT_c=7K、Lu-Sn-C系においてT_c=5Kの新規超伝導相を発見した。これらの中で、Sc-Ge-Cにおける超伝導は、Sc_3B_<0.75>C_3型の新規化合物Sc_3Ge_<1.5>C_<2.25>であると結論付けた。また、フッ素を含む四面体構造を有するThCr_2Si_2型構造に着目した新規超伝導物質探索を行った結果、T=30Kにおいて超伝導転移と思われる磁化率の異常を観測した。 2.共有結合性ワイドバンドギャップ半導体の超伝導化 共有結合性が強いワイドバンドギャップ半導体としてAlN(バンドギャップ約6eV)に着目し、組成が定性比を1:1からずらすことによってキャリアドープを試みた。合成された試料は若干のAlが残留したAlN+Al複合体であるが、T_c~2.8Kで超伝導転移を示した。単位格子体積が増加傾向を示し、ホール効果からは約2×10^<18>[1/cm^3]のエレクトロンキャリアが確認された。更に、組成分析の結果との整合性を考慮したところ、余剰AlがNサイトを占有するAl_<1.08>N_<0.92>という組成比の試料が合成されることによって、エレクトロンキャリアドープされたAlN相が超伝導転移を示していると結論付けた。
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