公募研究
1.負の巨大磁気抵抗効果を持つことで知られる1次元フタロシアニン鉄塩を念頭に、1次元イジングスピン鎖と1/4-fillingの電子系が結合した系を数値計算(DMRG)で解析した。その結果をもとに、電子間の強い相互作用効果によって局在した電子系と局在スピン系がカップルする際に、二つの系のミスマッチによってフラストレーションが生じるという描像を提示した。これは、もともとフラストレーションの要因を全くもたない系でも、強相関効果によってフラストレート量子スピン系が自発的に創出される可能性があることを指摘した理論研究である。2.三角格子有機モット絶縁体κ-ET_2Cu_2(CN)_3やEtMe_3Sb[Pd(dmit)_2]_2において低温で実現されると期待されているスピン液体が、従来の幾何学的フラストレーションではなく、新しい起源によるものであるという提案を行った。具体的にはこれらのモット絶縁体がダイマーを単位としていることに着目し、ダイマー内の電荷自由度を量子ダイポールとして取り扱い、強結合極限からの摂動論を展開して、ダイポール=スピン有効模型を導出した。この模型の特定のパラメタ領域で、ダイポールおよびスピンの自由度が絡み合い、互いに秩序化を抑えあう強相関状態に陥ることを数値的に示し、電荷とスピンの相関がスピン液体の起源となりうることを指摘した。3.異方的三角格子上のXXZ模型の強結合極限は、イジングスピン系であり、無秩序状態から成る密な低エネルギー構造が存在する。その低エネルギー励起状態を系統的に分類し、絶対零度近傍の低温で、温度揺らぎによって特異な1[○!+]1次元の強磁性スピンボンドのネットワークが出現し、次元クロスオーバが生じることを示した。
すべて 2011 2010
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (10件)
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