研究領域 | フラストレーションが創る新しい物性 |
研究課題/領域番号 |
22014016
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
桃井 勉 独立行政法人理化学研究所, 古崎物性理論研究室, 専任研究員 (80292499)
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研究分担者 |
佐藤 正寛 青山学院大学, 理工学部, 助教 (90425570)
引原 俊哉 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (00373358)
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キーワード | スピンネマティック / スピンカイラリティー / 核磁気共鳴緩和率 / 磁気フラストレーション / 低次元量子スピン系 / 変分モンテカルロ法 / ボゾン化法 / 密度行列繰り込み群法 |
研究概要 |
1.近年、磁気フラストレーションを持つジグザグ型J_1-J_2スピン鎖物質である擬1次元銅酸化物磁性体が、マルチフェロイクスまたはフラストレート磁性体として活発に研究されている。最近の理論解析によりJ_1-J_2スピン鎖に磁場を印加すると磁気多極子液体状態が現れることが示された。この多極子相の実験による観測手段の構築が大きな課題である。我々は核磁気共鳴緩和率1/T_1の磁場温度依存性を場の理論と数値解析を用い評価し、多極子相固有の特徴が現れることを示した。これらの特徴が多極子相同定に役立つであろう。(佐藤、引原、桃井) 2.ボンド型のスピンネマティック状態を記述する理論を構築し、数値計算(変分モンテカルロ法)と併用することにより、スピンネマティック相の基底状態を求める方法を構築した。これにより、数値的に、スピンネマティック相を探索することができる。(桃井) 3.単純なフラストレート磁性体の1つである3本鎖スピンチューブの磁化過程に注目し、1/3磁化プラトー状態の解析を行った。鎖間結合に歪みを加えると、プラトー状態がスピンギャップを保ちながら量子相転移を起こすことを明らかにした。(佐藤) 4.ダイマー化したスピン1/2鎖の励起ギャップの振る舞いから、ダイマー化していない一様なスピン1/2鎖の有効理論のボソン化公式の振幅を決定する方法論を構築した。この結果や方法はフラストレート磁性体を含む様々な系に応用可能である。(佐藤) 5.一次元量子系のエネルギースケールを空間的に変調させることで、基底状態の性質を制御し、そのトポロジーを劇的に変化させうることを示した。この結果は本研究課題の研究対象であるジグザグ梯子量子スピン鎖を含め、多くの1次元量子系に適用可能である。(引原)
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