研究概要 |
TiO2(110)表面上におけるNiクラスターの構造の制御により、TiO2(110)表面上の金属種の新たな触媒物性を発現することが期待される。われわれは、偏光全反射蛍光XAFS法という新たな表面解析手法を開発し、表面の高分散した金属クラスターの立体構造を明らかにし、その表面物性との関連を検討してきた。本研究においては、この手法とSTM(走査トンネル顕微鏡)を併用して、さらに高度な金属クラスターの制御を目的として、電気化学的な手法によりTiO2(110)表面に触媒的に重要な金属クラスターを個数、形、構造および場所を析出させることを試みた。そして、その構造を全反射蛍光XAFS法やSTMを用いて原子レベルで決定して、あらたなナノ機能触媒をTiO2(110)表面に構築することを目的に実験を展開した。 まず、電気化学的電着を可能にするために、NbドープTiO2(110)を用いて、電気伝導性を高めつつ、清浄表面を得る手法の開発をこない、ステップテラス構造を持つTiO2(110)清浄表面を作ることができた。さらに、この表面にPt,Auナノクラスターを直接導入しようとしているが、予想以上の電流が必要なため、装置の改造を行っている。電位をコントロールしないスピンコート法では、表面にAu,Ptのナノクラスターの担持に成功した。また、表面をベンゾチオフェンで修飾することで、Cuを単原子状分散できることを見いだした。また、同様の手法により、Auを単原子状に高分散させられることを見いだし、新しい金の構造制御法として期待される。また、TiO2(110)上のPtで、CH3OHが解離し、TiO2にスピルオーバする様子を初めてとらえることに成功した。
|