電位、総電荷量、イオン濃度などをパラメータとして、TiO_2(110)表面に電気化学的手法によって、金属クラスターを形成させ、そのサイズ、形、露出結晶面をSTMや偏光全反射蛍光XAFS法で調べて、表面クラスターの構造を原子レベルで決定し、ナノクラスター構造の制御を目的に実験を展開した。 その結果、印加電圧により、粒径や成長様式の異なるPtを得ることができた。具体的には、ポテンシャルをAg/AgCl電極に対して、-0.05Vにしたときには、数nm程度のPt粒子が成長するのに対して、-0.15Vでは、20-40nmにわたる粒径をもつナノ粒子が形成された。このように、粒子径をポテンシャルやそのかける時間で制御できることがわかった。一方、Ptの析出するサイトについてのポテンシャル依存性は認められなかった。すなわち、ステップおよびテラスにPtナノクラスターが均一に分布し、Underpotential電位での析出は観測することができなかった。 また表面をメルカプト安息香酸で修飾した表面においては、CuやAuが単原子状に高分散できることをみいだした。 これは、SとCuとの強い相互作用に起因するものである。微粒子になりやすいAuについてもメルカプト安息香酸で修飾することで、高分散化することが可能であることがわかった。こうしたメルカプト安息香酸による表面の修飾は、新しい金属高分散化法として、期待される。 また、ステップを多数持つ表面においては、Niがステップとの相互作用により、1次元小クラスターとなることが見いだされた。さらにAuのナノ粒子を酸素プラズマで処理すると、表面Auナノクラスターのサイズが小さくなることがわかった。 以上の成果は表面のナノ構造をもつクラスター制御の新しい方法論を提供したものといえる。
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