ペロブスカイト系遷移金属酸化物のナノ構造を作製するためには、高品質エピタキシャル成長技術が不可欠である。本研究では、表面原子が秩序を有して配列しているSrTiO3(001)-(√13×√13)再構成表面が、ナノ構造成長用基板として適していることを明らかにし、その上にSrTiO3、およびLaAlO3の成長を行った。 ナノ構造を作製する際には、数百度-千度程度に基板を加熱し、酸素を最大で10^<-2>Torrまでチャンバー中に導入する。このような条件下でも上記再構成基板は安定であり、実際にSrTiO3ホモエピタキシャル極薄膜を作製し、界面付近における薄膜の初期成長過程について、原子スケール観察を行った。 その結果、単結晶基板および薄膜第1層のいずれの表面においても明瞭な(√13×√13)構造の観察に成功した。この構造の最表面層がTiリッチになっていることを考慮すると、界面においてコヒーレントエピタキシーが実現していることが示唆される。このような基板を用いることにより、酸化物薄膜の成長初期状態が原子レベルで明らかになり、高品質薄膜作製につながると考えられる。 そこで、次に、LaAlO_3をヘテロエピタキシャル成長させ、ナノ構造を作製することを試みた。5nm程度のアイランドを形成し、電子状態を原子レベル分解能でマッピングしたところ、界面に蓄積した電荷の影響を観察することに成功した。基板との界面における特徴的な物性は、近年、非常に注目を浴びており、原子レベルの空間分解能で探ることができたのは大きな進歩である。
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