研究概要 |
圧力10~100ギガパスカルおよび温度2000~4000K程度の超高圧超高温領域での化学反応場における物質創製と相安定性の解明は,冶金学,合成化学,固体化学の萌芽的未踏研究領域であり,新物質・新結晶の創製が十分に期待できる.そこで,我々が独自に開発した数十ギガパスカル数千ケルビンでの超高圧合成用プロセスを用いて,多くの新物質・新結晶,特に様々な半導体新物質・新結晶を創製することを試みた.今年度は,単結晶育成,育成過程のその場観察,育成プロセス改良,試料観察・化学組成分析,結晶構造解析,電子構造解析,物性評価の各実験研究を行った.育成プロセスには,我々が独自に開発したダイアモンドアンビルセルとレーザー加熱を組み合わせたLASER-DACプロセスを用いた.育成条件は圧力数十ギガパスカル以上,温度数千ケルビンである.その場観察はこれら超高圧超高温下において光学顕微鏡観察によって行った.育成プロセスは研究進捗状況に併せて改良を行った.試料観察と化学組成分析は光学顕微鏡と走査型分析電子顕微鏡を用いて行った.結晶構造解析は実験室および放射光施設でのX線回折測定と透過型電子顕微鏡観察にて行った.また,圧縮曲線から求められる体積弾性率を評価した.その結果,チタン砒素型炭化ジルコニウム,酸素ドープγ型ホウ素,ルチル型酸化ゲルマニウムの角柱チューブ状単結晶,酸化ホウ素の20面体結晶などの創製に成功した.この他,結晶構造は未同定ではあるが,極最近にケイ素に富む全く新しい遷移金属ケイ化物単結晶の創製にも成功した.
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