研究概要 |
本研究では、グラフェン・ナノチューブにおいて重要な欠陥・不純物に関する計算を行った。これまでに、空孔、アドアトムの研究を行ってきたが、今回は、アドアトム・空孔ペアの回復に関する計算を行った。炭層カーボンナノチューブにおける実験より、回復のバリアは、0.3eVである事が示唆されているが、これまでの第一原理計算では、1eV以上の高いバリアが見積もられていた。本研究から、グラフェンでの回復バリアは、0.1eV以下と結論され、ナノチューブにおいても、エッジの違いなどにより、回復のバリアは、様々な値を取る事が示された。空孔においてできた5員環の結合の長さが短いほど、バリアは大きくなることが見いだされた。回復バリアは,系により様々な値を取り、実験で示唆されたバリアの値も説明出来る事が結論された。さらに、グラフェン上での水素不純物の計算を行い、単独の水素は、磁性を持つが、ダイマーは、磁性を持たないことが分かった.さらに、空孔と水素の結合エネルギーは十分大きく、水素・空孔対も磁性を持たない事が結論される。また、ナノチューブ上での水素の安定構造を決定し、量子伝導の予備的計算を行った。
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