公募研究
本研究では、カーボンナノチューブ(CNT)を足場としてフラーレンを配列させ、それを光電変換材料に用いることを目的としている。平成22年度は、有機薄膜太陽電池光活性層における電子アクセプターとして広く用いられるフラーレンC_<60>あるいはC_<70>を内包した単層カーボンナノチューブ(C_<60>@SWNT、C_<70>@SWNT)と、電子ドナーとして広く用いられるポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)からなる複合体を作製し、その励起状態挙動および光電気化学特性を詳細に検討した。C_<60>@SWNT-P3HT複合体の過渡吸収スペクトルを測定したところ、0.11ピコ秒および0.76ピコ秒の寿命を有する減衰成分が観測された。その形状から、短寿命成分はP3HTの励起一重項状態に帰属できる。さらに、蛍光寿命測定により長寿命成分は発光性であることが確認されたため、これはエキシプレックスに帰属できる。また、過渡吸収スペクトルにおいてP3HTカチオンや、フラーレンアニオンに由来するシグナルは観測されなかったため、複合体の光励起により電子移動は起こらないことが示唆された。さらに、ピーポッド-P3HT複合体薄膜で修飾された半導体電極の光電流発生の作用スペクトルを測定したところ、P3HTの吸収に由来するIPCE(incident photon-to-current efficiency)値の向上は見られなかった。これは、電荷分離が起きていないことを示唆する過渡吸収測定の結果と一致する。
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http://www.moleng.kyoto-u.ac.jp/~moleng_05/umeyama.html