公募研究
本研究では、カーボンナノチューブ(CNT)を足場としてフラーレンを配列させ、それを光電変換材料に用いることを目的としてる。平成23年度は、有機薄膜太陽電池光活性層における電子アクセプターとして広く用いられるフラーレンC_<60>を内包した単層カーボンナノチューブ(C_<60>@SWNT)と、電子ドナーとして広く用いられるポルフィリン(ZnP)とを共有結合で連結した複合体(C_<60>@SWNT-ZnP)を作製し、その励起状態挙動および光電気化学特性を詳細に検討した。420nmの励起光を用い、C_<60>@SWNT-ZnPの過渡吸収スペクトル測定を行ったところ、0.4および24ピコ秒の寿命を有する減衰成分と、2ナノ秒以上の長寿命の成分が観測された。それぞれ、C60@SWNT部位の基底状態のブリーチング、ZnPとSWNTもしくはC_<60>@SWNTが形成するエキシプレックス、ポルフィリンラジカルカチオンに帰属され、C60@SWNT-ZnPにおいて光励起により電荷分離が起こることがわかった。これは、空のSWNTとZnPとの複合体では電荷分離が起こらないのと対照的であり、内部空間への分子ドーピングによりSWNTの電子的物性が制御できることが示された。また、C_<60>@SWNT-ZnPを酸化スズ電極上に薄膜化し、その光電気化学特性を調べたところ、小さいながらもポルフィリンの吸収による光電流の発生が確認された。これは、電荷分離状態が形成されていることを示唆する過渡吸収測定の結果と一致する。
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すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 13件) 学会発表 (4件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
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http://www.moleng.kyoto-u.ac.jp/~moleng_05/umeyama.html