将来の核融合炉のトリチウム経済に着目して、「炉心プラズマ」研究としてのDT燃料比の制御によるトリチウム燃料消費の最適化、および、「炉システム」研究としてのトリチウム燃料システムの経済性評価の2つの面からの研究を進めた。 炉心プラズマ解析研究として、独自の輸送解析コードTOTAL (Toroidal Transport Analysis Linkage)による燃料注入のモデリングを発展させた。これまでにトリチウムのペレット入射シミュレーションを進めており、ペレット進入長の深い高磁場側入射がプラズマ閉じ込めに有効であることを示したが、これをさらに発展させて、トリチウム燃料の挙動やD/Tの燃料比の制御と核融合出力特性の関係を明らかにした。特に、トリチウム燃料と重水素燃料の比を3:7にすることで、必要な密度は増加するものの、最終的なトリチウム消費量を減少させ炉稼働の初期運転に適している事を明らかにし、トリチウム2010国際会議で報告した。これをベースとして、トリチウム燃料消費量の低減シナリオの検討を深め、トリチウム経済を検討中である。 炉システム解析研究としては、独自のシステムコードPEC (Physics-Engineering-Cost)を用いて、物理・工学概念設計を踏まえてDT核融合炉のコスト評価、CO2排出量評価、エネルギー利得比評価、等の検討を進めた。特に、トリチウム初期装荷燃料、トリチウム回収・抽出システム、ペレット生成システム、等のコスト評価の詳細を検討し、トリチウム2010国際会議で発表した。トリチウム経済の観点から、これらの結果の更なる検討を進めている。
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