今年度は、コンクリート試料(セメント、モルタル、コンクリート)について、吸着・脱離試験を実施した。また、イメージングプレートを用いる事により、材料表面におけるトリチウムの分布の測定も実施した。 得られた結果は以下のとおりである。 1.コンクリート試料(25mmΦ×10mmH)を用い、トリチウムの吸着量を測定したところ、3ヶ月程度で飽和に達し、その吸着量は、コンクリート試料の吸水率に相当する事が明らかになった。 2.トリチウムに取り込まれたコンクリート試料について、4℃、25℃、70℃の水へ浸し、脱離拳動を測定したところ、4℃と25℃にける離拳動へ与える影響に大きな違いは見られなかった。70℃の水においては、浸漬後、2日間で95%以上のトリチウムが脱離する事が明らかになった。 3.イメージングプレートによる表面観察では、セメントペーストに比べモルタルとコンクリート表面のトリチウム量は少なかった。また、モルタルの砂利やコンクリートの骨材部分は、セメントに比べトリチウムが非常に少ないことが可視化できた。 以上について、日本原子力学会2010秋の大会(北海道大学)及び9th International Conference on Tritium Science and Technology(奈良県新公会堂)にて発表した。
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