研究領域 | 分子高次系機能解明のための分子科学―先端計測法の開拓による素過程的理解 |
研究課題/領域番号 |
22018003
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岡嶋 孝治 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (70280998)
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研究分担者 |
新倉 謙一 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (40360896)
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キーワード | 細胞周期 / 細胞界面 / ダイナミクス / 原子間力顕微鏡 / 人工脂質分子 |
研究概要 |
細胞の期に着目した細胞界面ナノ領域の物性研究は極めて少なく、その詳細は未知である。本研究では、細胞周期に対する細胞界面ナノ物性を明らかにすることを目的とする。本研究により、細胞計測技術と細胞制御技術とを融合した新しい細胞界面計測技術が確立される。細胞周期同調によって細胞力学特性がどのように変化するのか分かっていない。そこで、本研究では、G1期に同調した細胞レオロジー計測を行った。細胞個性による分散性を考慮するために、AFMと細胞マイクロアレイ技術とを組み合わせて測定を行った。マウス線維芽細胞を用いて、非同調細胞と同調細胞とで比較した結果、血清飢餓法によって、細胞ニュートン粘性項が大きく変化し、細胞周期を同調することにより個々の細胞物性はより不均一になることがわかった。以上の結果は、細胞のレオロジー特性は、細胞周期同調法に強く依存することを示唆している。また、細胞の特徴的な能動運動の1つである心筋細胞の細胞周期依存性を調苓ることを目標として、心筋細胞の拍動現象のAFMダイナミクス計測を行った。その結果、薬剤添加による拍動変化の局所応答を精密に測定することに成功した。細胞周期同調による細胞膜ダイナミクスを調べるために、蛍光分子ラベルした脂質様分子を作製し、それらの細胞内取り込み量をHeLa細胞を用いて計測した。その結果、M期に比べてG1/S期において細胞内脂質分子の取り込み量が増大することが分かった。また、アルキル鎖を含む分子やフッ素系分子は、細胞膜に局在しやすいことが分かった。これらの分子は、G1/S期において、コレステロールと強く相互作用しており、一方で、M期では細胞膜に吸着する傾向があることが分かった。以上の結果は、細胞ダイナミクスを調べる上で細胞周期は重要なパラメータであることを示している。
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