分裂酵母のRNAi依存性ヘテロクロマチンはヘテロクロマチン領域内で転写されるnon-coding RNAが引き金となるRNAi機構によって形成される。このnon-coding RNAの転写はGl-S期特異的におこることは報告されているがその制御機構は明らかでない。jumonji-domainタンパク質Epelはヘテロクロマチンタンパク質Swi6との相互作用によりヘテロクロマチンに局在し、ヘテロクロマチン内転写を活性化することが知られている。我々はこのEpe1がG1-S期のnon-coding RNA転写活性化に必要なことを見いだした。 また、epe1遺伝子欠損株では染色体分配の異常が起こることに気づき、その原因を探ったところ、姉妹染色体合着に必要なcohesinのヘテロクロマチン局在がepe1破壊株で損なわれていることを見いだした。さらに分子遺伝学的解析を進めたところ、以下のような結論を得た1)epe1によりG1-S期にヘテロクロマチンnon-coding RNA転写が活性化される。2)この転写に依存してohesinのクロマチンloadingに必須の因子Mis4がヘテロクロマチン領域に局在する。3)Mis4によりcohesinがクロマチンにloadされ、S期の進行とともに姉妹染色体合着を確立する。 ヘテロクロマチン領域のcohesinの局在はSwi6との相互作用によると考えられていたが、我々の結果はSwi6によりリクルートされるEpe1による転写活性化が引き金となることを示し、謎の多かったcohesin loading機構の解明に大きく寄与するものである。
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