公募研究
これまでROCOファミリーキナーゼLRRK1が、(1)M期に重要なキナーゼPLK1と相互作用すること、(2)LRRK1をノックダウンした細胞で多核が高頻度にみられること、を見出していた。昨年度の研究から、(a)PLK1がLRRK1を直接リン酸化すること、(b)リン酸化されたLRRK1はM期中心体に局在すること、(c)PLK1によるLRRK1のリン酸化はM期スピンドル配向に重要なこと、を明らかにした。我々はin vitroキナーゼアッセイを用いた解析から、PLK1がPolo-boxドメインを介してLRRK1と結合し、LRRK1のWD40ドメイン内のセリン残基をリン酸化することを明らかにした。また、リン酸化されたセリン残基を認識する抗体を作製したところ、リン酸化LRRK1はM期中心体に特異的に局在することがわかった。M期中心体はスピンドルの細胞内における位置決定や細胞接着面に対する配向制御に重要であると考えられている。実際LRRK1 siRNAでHeLa細胞を処理し、内在性LRRK1をノックダウンすると、M期スピンドルの配向が顕著に乱れることがわかった。さらにこの配向異常は、siRNA耐性野生型LRRK1 (LRRK1WT)でレスキューされるのに対し、PLK1によるリン酸化部位に変異を導入した非リン酸化型LRRK1 (LRRK1SA変異体)ではレスキューできないことが明らかとなった。このことはPLK1によるリン酸化がスピンドル配向制御に重要であることを示唆している。中心体は微小管形成に必須の器官と考えられているが、LRRK1をノックダウンした細胞では星状微小管(中心体から細胞膜へ伸びた微小管)の形成が貧弱になっていた。我々は中心体でリン酸化されたLRRK1が、星状微小管の形成を制御することで、スピンドル配向を制御していると考えている。今後は、PLK1によってリン酸化されたLRRK1がどのように機能しているのか検討を行っていく予定である。
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