研究概要 |
申請者らが単璃した分裂酵母ubcll-P93L高温感受性株では、制限温度でAPC-依存的に分解されるセキュリンとスピンドルチェックポイントのターゲットであるSlp1が蓄積した状態で増殖を停止する。しかしながらスピンドルチェックポイント因子であるMad2を欠損したubcll-P93L株ではSlp1のみが蓄積したまま増殖が継続する。 この現象の生物学的意義と背後にある分子メカニズムを解明するため、22年度は、ubcll-P93L変異株に関して,制限温度におけるサイクリンの安定性を検証した、その結果、野生株と顕著な差異は観察できなかった.これはmad2破壊株の遺伝的背景においても同様であった。UbcllがSlp1に対して極めて高い基質特異性ともつという仮説を堅固なものにする結果である。また,生化学的な実験に加え,細胞学的な解析も試みた.Cnpl/CENP-Aと微小管,Mad2それぞれの二重染色の結果より,この変異株ではスピンドル-動原体のbipolar attachmentやMad2の動原体からの局在変化,いずれにも異常は認められなかった。これらの結果は、ubcll-P93L変異株で、染色体の分配装置の異常を来すことを否定し、細胞周期の進行制御にあいて何からの欠損をもつことを示唆する。一方,23年度への研究に向けて、Ubcllと機能関連が深いCut23+およびCut23-Y395Hにタグを付加した株の構築も完了した。
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