細胞周期のG1期制御に関わる因子は進行性の難聴原因因子としても同定されていることから、G1期制御と感覚細胞の生存維持との関係が示唆されている。本研究ではG1期制御に関わることが予想ざれているショウジョウバエebiによる感覚細胞の生存維持メカニズムの解明を目指して研究を行っている。これまでの研究でebiの機能が光受容細胞の長期生存維持に働いそいることを明らかにしている。 平成22年度の成果 (1)これまでの研究からEbiはAP-1と複合体を形成して転写コリプレッサー複合体として機能していることが示唆されていた。本年度の解析ではEbi/AP-1の標的遺伝子で細胞の生存維持に働く因子としてアポトーシス関連遺伝子であるhidを見いだした。詳しい解析から、Ebi/AP-1はhidのプロモーター領域に存在するAP-1結合サイトを介してhidの発現を抑制していることを見いだした。Ebiの機能欠損では、加齢にともなってhidの発現が上昇してくることから、Ebi/AP-1はhidの発現を抑制することにより感覚細胞の生存維持を制御していることが予想される。 (2)加齢とebiの機能との関係を解析して、加齢にともなったEbi/AP-1リプレッサーの活性が減少していることを突き止めた。Ebiのプロモーター領域を詳しく調べることによりebiの発現抑制にポリコーム群(PcG)が働いていることを見いだした。今後、ebiとPcGとの関係をさらに追求していきたい。
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