公募研究
昆虫由来の膜電位依存性K+チャネル(Kvチャネル)の膜電位センサーの第4膜貫通部位は、高度に親水的であるが自ら膜に挿入する機能を持つ。この特徴的な膜挿入機構を明確にするために、複数回膜貫通領域をもつ膜タンパク質の形成機構に関して解析を行った。生体膜の電位の変化を感知するイオンチャネルの作動部位膜電位センサー)の膜貫通領域中に電荷残基が存在する。細菌由来チャネルKvAPの膜電位センサーのin vitro膜組込み解析を行ったところ、膜貫通領域の生体膜への組込みが前後の膜貫通領域によって影響されることを明らかにした。輸送体などに存在する機能性部位と膜貫通領域の性質は相互に影響を与えることが明らかとなった。また、一般に用いられているウサギ網状赤血球用血液翻訳系とイヌ膵臓小胞膜の代わりに、昆虫培養細胞系の翻訳および膜を使用することが可能であることを示すことができた。新たな代替無細胞系として研究に利用できる。Tail-anchor型蛋白質は、GETなどの膜結合型リボソームが関与しないSRP非依存的経路によって、翻訳後にER膜に標的化され膜挿入される。TAタンパク質の標的化におけるTM前後の電荷残基の影響を、昆虫培養細胞由来の無細胞タンパク質合成系を用いて評価した。TAタンパク質TMのN末端側に正電荷を導入すると小胞体膜へ標的化されやすくなることから、正電荷が正しい膜組込みに関与していることが分かった。一方、C末領域の電荷の依存性は小さいことがわかった。マルチスパン型膜タンパク質のNhaAのN末端領域、中頃、C末端領域の箇所に蛍光ラベルを導入して蛍光導入を行うことが可能であった。しかし、その強弱が生じた。蛍光を生じる官能基のサイズがより小さい分子を用いることにより、蛍光導入の効率が完全された。
すべて 2011
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