(1)シャペロニンGroELの機能・相互作用解析 ナノ開口基板の底面にAlexa488およびビオチン標識したGroESを固定し、Cy3標識したGroESおよびCy5標識したGorELを溶液中に存在させ、GroELとGroESの結合・解離反応の1分子イメージングを行った。その結果、フットボール型複合体(GroELの2つのリングにGroESが同時に結合した複合体)が反応サイクル中に存在することの直接観察に成功した。また、フットボール型複合体から解離するGroESの順番はGroELに結合した順番によって決められているわけではないこと、フットボール型複合体の寿命が3-5秒であることが分かった。今回の発見は、従来のGroELの反応サイクルモデルに修正を迫る発見である。以上の成果は、Journal of Biological Chemistry誌に掲載された。 (2)新生蛍光タンパク質の発色団形成反応の速度論的解析 翻訳と共役した新生GFPの構造形成過程にGroELが与える影響を調べることを目指し、発色団形成の速いGFP変異体の探索を行った。新生GFPの発色団形成速度は、GFPをグルコースオキシダーゼ・カタラーゼを添加した無細胞タンパク質翻訳系(Pure system)で合成し、酸素を含む溶液に希釈することで発色団形成反応を開始させることから測定した。様々なGFP変異体を用いて37℃における発色団形成の時定数を比較したところ、野生型のGFPは55分であったのに対し、最速はGFPmの6分であった。この成果については、Analytical Biochemistry誌に掲載予定である。
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