研究概要 |
オートファジーは、細胞が古くなった自己構成成分を消化、再利用する浄化機構であり、全ての細胞が普遍的に有している細胞機能である。本研究では、我々が発見したAtg5/Atg7非依存性オートファジー機構に関して、1、分子機構の解明、2、生物学的役割、3、Atg5依存性オートファジーとの相互作用、に関して検討を行い、以下の成果を得た。 1、Atg5/Atg7非依存性オートファジー分子機構の解明:従来まで同定していたUlk1,Beclin1,Rab9に加えて、さらに7種類の蛋白質が、Atg5/Atg7非依存性オートファジーに関与している事を見出した。これらの蛋白質は、データベースサーチ、Ulk1結合蛋白質、新規オートファジー誘導化合物の分子標的として同定したものである。 2、生理機能解析:Atg5/Atg7非依存性オートファジー分子を欠損させたマウスを5種類作製した。これらのうち2種類のノックアウトマウスに関して解析を進めた。その結果、いずれのマウスにおいても、赤血球の分化異常による貧血症、発癌率の上昇が観察された。即ち、Atg5/Atg7非依存性オートファジーは、これらの生命現象に深く関わっている事が示された。 3、Atg5依存性オートファジーとの相互作用:上記2種類のノックアウトマウスをAtg5欠損マウスと交配したところ、いずれにおいても貧血症の増悪が観察された。即ち、Atg5依存性オートファジーと非依存性オートファジーは相加的な役割を担っている事が明らかとなった。
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