研究領域 | タンパク質社会の研究の総合的推進 |
研究課題/領域番号 |
22020014
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
内木 宏延 福井大学, 医学部, 教授 (10227704)
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研究分担者 |
長谷川 一浩 福井大学, 医学部, 助教 (60324159)
大越 忠和 福井大学, 医学部, 助教 (90362037)
小澤 大作 福井大学, 医学部, 特命助教 (60554524)
伴 匡人 福井大学, 医学部, 特命助教 (00579667)
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キーワード | アルツハイマー病 / 透析アミロイドーシス / Aβ蛋白質 / β2-ミクログロブリン / アミロイド線維 |
研究概要 |
本研究は、アミロイドーシス発症の分子機構を一般的に説明する新規モデルの確立を目標とする。この為に、アルツハイマー病Aβアミロイドーシス及び長期血液透析の合併症であるβ2-ミクログロブリン(β2-m)アミロイドーシスをモデル疾患に選び、1.種々の生体分子がアミロイド線維形成を促進・阻害する分子機構を、特に細胞外分子シャペロンのアミロイド線維形成抑制機構に焦点を当て、複雑な生体分子間相互作用の精密な解析を通して疾病発症機構の観点から明らかにすること、及び2.アミロイド線維による細胞傷害機構を明らかにすることを目指す。本年度の成果:1.生体に備わりアミロイド線維形成を抑制すると考えられる細胞外蛋白質品質管理機構について、血漿蛋白質α2-マクログロブリン(α2M)がβ2-mアミロイド線維形成を抑制する機構を詳細に解析した(Ozawa et al. JBC, 2011)。α2Mは低濃度ドデシル硫酸ナトリウム存在下の変性条件では、β2-mと強く結合した。α2Mは天然状態では四量体として存在するが、変性条件では一部が二量体に解離し、疎水性領域を露出することで、変性β2-mと強く結合することが判明した。同様の現象は、弱酸性変性条件でも認められた。α2Mは細胞外分子シャペロンとして、変性β2-mをアミロイド線維形成経路から排除することで細胞外蛋白質管理を行なっていると考えられる。2.β2-mアミロドーシスの主症状である関節炎のモデルとして、培養滑膜線維芽細胞に対するβ2-mアミロイド線維の毒性を評価する手法の開発を進行している。3.試験管内Aβアミロイド線維形成において、生理条件を模した低濃度Aβ条件下では、その線維形成に界面が重要である。そこで、線維形成を強力に誘起する気液界面を排除した上で、生体分子による比較的弱い線維形成誘起能を測定できる反応系の構築を進めている。
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