研究概要 |
平成23年度の「研究の目的」は『アミロイド線維の伝播によるタンパク質社会の秩序破綻の分子的メカニズムを解明し、その生体での全体像を明らかにする』ことであった。また「研究実施計画」は、1)AApoAII及びAAアミロイド線維の部分ペプタイドを用いたユニークな試験管内線維形成システムと独自に開発したアミロイドーシスのモデルマウスを用いた解析システムを駆使して、伝播と毒性を担う構造の解明を進める。2)アミロイド線維による秩序の破綻とアミロイドーシス治癒の機構をheat shock responseに注目して解析する。3)アミロイド線維の個体間レベル(マウス、チーター、ヒト)、臓器間レベル、細胞間レベルによる伝播の実態の把握を行う。であった。1)に関する実績として、アミロイドーシス抵抗性のマウスF型apoA-IIを発見し、試験管内線維形成解析システムを用いて、F型の線維形成コア領域は線維を形成しないこと、C末配列部分がアミロイドーシスの発症を軽減することを試験管及びマウスのシステムで明らかにした(Sawashita et al,JBC revise中)。2)に関する実績として、AApoAIIアミロイド沈着に伴う、Heat Shock Response(HSR)、Unfolded Protein Response(UPR),Autophagy等をSAMR1CやHSF1ノックアウトマウスを用いて解析した。3)に関する実績として、糞中の排出されるアミロイド線維の伝播性と、生化学的特性に関して解析した結果、アミロドーシス発症中期に糞中に分子量が小さく伝播力の強いアミロイド線維が排出されることを明らかにした。またチーターのアミロイド前駆蛋白質SAAの遺伝子構造を明らかにした(Chen et al,J Hered 2011)。
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