公募研究
我々はこれまでに、TAP法スクリーニングにより、LRRK2に結合する因子として分子シャペロン複合体BAG2・HSC70・CHIPを同定した。さらに、線虫を用いた個体レベルでの実験から、LRRK2ホモログlrk-1およびBAG2ホモログunc-23の変異体が共にシナプトブレビンの局在異常の表現型を示すこと、さらにその表現型がHSC70ホモログhsp-1およびCHIPホモログchn-1の変異により抑圧されることを見いだしていた。本年度の解析から、unc-23変異体におけるLRK-1蛋白質の分解が実は部分分解であること、またその分解がCHN-1およびHSP-1に依存していることを見いだした。また、unc-23変異体は筋肉のdegenerationの表現型も示すが、この表現型にはHSP-1のみが関与し、CHN-1およびLRK-1は関わっていないことも見いだした。一方、遺伝学的スクリーニングを行うことにより、unc-23変異体と類似した筋肉のdegenerationの表現型を示す新規変異km80を単離することに成功した。km80変異体は、通常の条件ではunc-23変異体およびlrk-1変異体が示すシナプトブレビンの局在異常の表現型をほとんど示さない。しかし、飢餓条件にしてオートファジー経路を活性化させると、ほぼ全ての個体で局在異常の表現型を示すようになった。一方、野生型や他の変異体ではそのような飢餓シグナルによる変化は見られなかった。このことから、UNC-23には構成的な正のシグナルと飢餓からのシグナルの2つが入っており、km80変異体では構成的な正のシグナルが失われた結果、飢餓シグナルがLRK-1を介したシナプトブレビンの局在制御をするように変化したのではないかと推測される。
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