研究概要 |
分子シャペロンの一つであるシャペロニンの機能発現機構について研究を行い,以下のような成果を得た。 1:シャペロニンGroELのフレキシブルC末端領域とヒンジ部位の役割解明 GroELの柔軟性に富んだC末端領域に存在しているKNDAAD配列をタンデムに繰り返して導入した場合,3回まではシャペロニン機能はあまり変化しなかったが,4回繰り返した場合,大きな機能低下が起こることが分かった。しかし0.5M KCl存在下では,野生型と同程度のシャペロニン活性を示した。これらの結果から,シャペロニンのC末端の天然変性ペプチド領域はKNDAAD配列の電荷と大きな関係があることが明らかになった。また,アピカルドメインとインターメディエートドメインをつなぐヒンジ2部位のGly残基を大きさの異なる様々な残基に変化させ,シャペロニン機能を調べ,このヒンジ部位のGroELの機能発現機構への重要性の理解を深めた。 2:Thermoplasma acidophilum由来のシャペロニンの機能解明 T.acidophilum由来のシャペロニンは単量体として多く存在しているので,この単量体シャペロニンの機能を調べた。その結果,Sup35蛋白質のアミロイド線維形成を抑制する機能があることが判明し,その部位としてアピカルドメインのヘリカルプロトルージョンが重要な役割を果たしていることが明らかになった。これまでシャペロニンのアミロイド線維形成抑制機能は不明だったので,この種のシャペロニンの機能としてこれは初めての例である。
|