公募研究
平成23年度は、BiP3プロモーターにGUS遺伝子を連結した遺伝子を導入したシロイヌナズナを用いて、ツニカマイシン処理によりGUS活性に異常がある変異体の単離、生理的特徴づけ、bZIP60変異の確認、アリル検定、原因遺伝子の同定を予定した。ツニカマイシン処理によってもGUS活性の誘導が顕著に起こらない変異体には関しては、BiP3の誘導も抑制されている系統が100系統以上得られたが、bZIP60の活性化が見られるとともに、他の小胞体ストレス応答関連遺伝子の誘導抑制が顕著に認められず、当初目的としていた変異体であるかどうかが必ずしも明確で無いとともに、系統数が多すぎるため、想定外の現象が起こっていると推定され、解析を一旦中断した。一方、ツニカマイシン処理を行わなくてもGUS活性の上昇が見られる変異体が2系統単離された。この表現型は植物を無菌的にMS培地にて生育させた場合には見られなくなった。また、変異体は土壌を用いて非無菌的に栽培すると、生育遅延、矮化といった生育阻害を示した。従って、これら変異体では、何らかの環境ストレスの結果、恒常的に小胞体ストレスが起こっていると考えられた。ウエスタン解析の結果、GUS活性の上昇や生育阻害を示した条件下では、BiP1、BiP3タンパク質の蓄積量も増加していることが明らかとなった。しかし、BiP3の誘導に主として働く転写因子bZIP60の活性化は検出されなかった。交配によるアリル検定の結果、これらの2系統の変異はいずれも劣性であることと、変異は異なる遺伝子座にあることが示された。次世代シークエンサーによる原因遺伝子の特定のためにF2種子を採取した。
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