マウスにおけるIL-10産生制御性B細胞の特異的マーカーとシグナル伝達経路を、DNAチップを用いた網羅的な発現遺伝子解析を用いて同定することを目的に、野生型のC57BL/6マウスから、脾臓B細胞を分離し、LPS+PMA+イオノマイシン刺激によりIL-10産生を誘導した。これらの細胞を蛍光標識されたモノクローナル抗体にて染色し、高速セルソーターをもちいてIL-10産生細胞をソートした。コントロールとして、同様の処理にてIL-10を産生しないB細胞を用いた。このように細胞からRNAを抽出し、マウスの全遺伝子型DNAチップを用いて、コントロール群との比較により網羅的な発現遺伝子解析を行った。このような解析により、PI3K経路が重要であることが示唆されたため、PTENをB細胞特異的にコンディショナルノックアウト(cKO)したPTEN-cKOマウスを作製した。PTEN-cKOマウスでは、これまでに同定されていない制御性B細胞が著増しており、これらの細胞はin vivoにおいても実験性自己免疫性脳脊髄炎や接触過敏反応を抑制することができた。 また、線維化疾患における制御性B細胞の役割を検討するために、全身性強皮症のマウスモデルでもあるブレオマイシン誘導肺線維症のモデルを解析した。B細胞を欠損したuMTマウスでは、肺線維症の増悪が認められ、これは制御性B細胞の移入により改善した。また、マウス抗マウスCD20抗体を用いてB細胞除去療法を行うと、抗体投与時期によって、その反応性の違いが認められた。
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