本研究はT細胞の生体内での反応性を肝臓などの非免疫臓器からのサイトカイン発現を起点に検討することを目的としている。この目的のために以下の3つの実験を行った。 1. IL-7を肝臓特異的に欠損させたマウスでの自己免疫疾患の発症 IL-7floxマウスを京都大学の生田先生からいただきアルブミンCreマウスとかけ合わせて肝臓特異的にIL-7が欠損した変異マウスを作製した。多発性硬化症モテルの実験的脳脊髄炎(EAE)を誘導したところ有意にその発症か抑制された。この結果は研究代表者が2009年にImmunlty誌に発表したハイドロダイナミック法とshRNAを用いた方法を同様のものであった。すでにIL-7を肝細胞から誘導する1型IFN受容体の欠損でも同様な表現型を得ることができた。 2. 脊髄の血管内皮細胞に存在する病原T細胞の中枢神経系への侵入口 第5腰椎の背側の血管の内皮細胞にサイトカインIL-6と神経刺激によるノルアドレナリンの刺激にてSTAT3とNFkBが活性化してケモカインの過剰発現系IL-6アンプが活性化し免疫細胞の中枢神経系への入り口となっていることが判った。血液中に中枢神経系の抗原に対する自己反応性T細胞が存在すればこの部位から侵入して病気を発症した(Cell 2012)。 3. 血管内皮細胞でのケモカイン発現機構IL-6アンプの制御潰伝子のゲノムワイドな解析 実験2にて解析したIL-6アンプの活性化制御遺伝子を同定する目的でshRNAを搭載したレンチウイルスを用いたゲノムワイドな解析を行った。その結果、IL-6アンプの活性化は1000個以上の遺伝子にて制御されていることが判った。これらの遺伝子にはこれまで遺伝学的に病気、病態との関運か証明されたのもが10%以上存在して疾患関連遺伝子が濃縮されていることが判った(under revlsion)。
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