公募研究
TRAILが制御性T細胞へ与える影響についての検討:申請者らは、昨年度までの研究により、TRAILを強制発現させたES細胞由来の樹状細胞(ES-DC)を生体に投与することにより抗原特異的な免疫抑制を誘導できること、さらにTRAILを強制的に発現させたマウスES由来樹状細胞による免疫抑制に制御性T細胞が関与していることを明らかにしている。平成23年度の研究においては、この結果を確認することはできたが、そのメカニズムの解明にはいたらなかった。ES-DCおよびiPS-DCによる自己免疫抑制機序の解明:昨年度までの研究では、NODマウスを用いた研究を中心に行っていたが、実験の簡便さ、治療効果を評価するまでの時間の短さに鑑み、本年度は、マウスの自己免疫疾患のモデルである実験的自己免疫性脳脊髄焔(EAE)を用いて、ES-DCによる自己免疫抑制機序の解明を試みた。その結果、EAEの症状(下肢を中心とする運動麻痺)が出現する以前に、一定数以上のES-DCを投与することにより、再現性良く、症状を緩和できることを観察した。一方で、症状出現後のES-DC投与では、効果を認めなかった。このようなES-DCによるEAEの症状の抑制には、T細胞およびミエロイド系細胞を含む各種の免疫細胞の局所(脊髄組織)への浸潤の抑制を伴っていた。GFPを発現するES-DC等を用いて投与したES-DCが脊髄組織へ浸潤しているかどうかの検討を行ったが、これについては明白な結果を得ることができなかった。ES-DCによる自己免疫抑制機序として、現時点では、自己抗原に特異的なTリンパ球の応答の抑制が考えられ、その効果は、自己抗原による感作よりも後であっても、発揮されるものと考えている。
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Gene Therapy
巻: 18 ページ: 874-883
10.1038/gt.2011.22
Seminars in Immunopathology
巻: 33 ページ: 603-612
10.1007/s00281-011-0263-y