研究概要 |
申請者はT細胞分化(Treg細胞、Th17細胞)を正に制御する転写因子(Smad2/3、RORγt)の活性化分子機構を解明する為に、プロテオミクス手法を用いた各相互作用因子群の同定と、マウス由来初代培養細胞や不死化したT細胞関連培養細胞株を用いた分子機構の解析を行った。 まずSmad2/3、RORγt相互作用因子を取得する為に最適な培養細胞と抽出法を検討した結果、T細胞由来の培養細胞である68-41細胞が大量培養と核タンパク質抽出に適する事を見出し、Smad2/3、RORγtの抗体カラムを用いて精製と同定を行った。 質量分析計にてタンパク質を同定した結果、Smad2/3相互作用因子は13種、RORγt相互作用因子は20種類の候補因子を得ることができた。更に68-41細胞にて同定因子を強発現させ内在のIL-17A(Th17細胞特異的に発現誘導されるサイトカイン),Foxp3(Treg分化を促進する転写因子)遺伝子mRNA発現をリアルタイムRT-PCRで検討した結果、Smad2/3に関しては7種類、RORγtに関しては12種の候補因子がIL-17AあるいはFoxp3mRNA発現に機能する事を見出した。更にこれら候補因子に関しルシフェラーゼレポーターを行いSmad2/3やRORγtの転写活性化機能に関し作用する可能性を検討した結果、特にRORγtに相互作用する機能未知因子の一つがSmad2/3機能の抑制、RORγt機能の促進に作用する事を見出した。この因子はマウス由来初代培養T細胞においてもTh17細胞分化を制御する事を見出しており、現在詳細な分子機構を解析中である。
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