研究領域 | 免疫系自己-形成・識別とその異常 |
研究課題/領域番号 |
22021049
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研究機関 | 防衛医科大学校 |
研究代表者 |
野々山 恵章 防衛医科大学校, 医学教育部・医学科専門課程, 教授 (40280961)
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研究分担者 |
大嶋 宏一 京都大学, iPS細胞研究センター, 特定研究員 (60525377)
今井 耕輔 防衛医科大学校, 病院, 准教授 (90332626)
長瀬 隆弘 (財)かずさDNA研究所, ヒトゲノム研究部・ヒト遺伝子応用技術研究室, 室長 (10211442)
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キーワード | 免疫学 / 遺伝子 / 移植・再生医療 / 発生・分化 / 感染症 |
研究概要 |
本年度研究では、自己識別異常の破綻をきたした免疫不全症の病態解析と、その原因遺伝子同定に向け以下の研究を行ったので報告する。 1.病態解析 (1)クラススイッチ異常の解析 Igクラススイッチが起きないことをvitroの解析で示した。 (2)Sμ領域体細胞変異の解析 患者B細胞のV領域およびIgMスイッチ領域(Sμ)の体細胞変異(Somatic Hyper Mutation,SHM)が偏倚していないこと、刺激により正常と同様にSμ領域にSHMが導入されることを明らかにした。 (3)Sμ領域のDNA二重鎖切断(DSB)定量法の開発とその検討 HIM4患者B細胞Sμ領域のDNA DSBを検討した結果、DSBは起きており、DNA鎖切断後修復が異常であると考えられた。 (4)TREC定量、KREC定量とV(D)J再構成についての検討 TRECおよびKRECはT細胞レセプター、B細胞レセプターのDNA組み替えの際に生じる環状DNAであり、V(D)J再構成能を反映する。本疾患でTREC,KRECが低下していることを見出した。 以上の結果により、DNA切断後修復異常によるクラススイッチ再構成およびV(D)J再構成の異常が本疾患の病態であると考えられた。 2.原因遺伝子の同定 血族結婚の患者の家系内の発症状況から、本症は常染色体劣性遺伝と考えられた。そこで、SNP解析で患者whole genomeのhomozygosity mappingを行い候補遺伝子領域情報を得た。候補領域に含まれる遺伝子をのせたchipで患者genomic DNAを濃縮し、濃縮後のDNAを次世代シークエンサーでexome解析を行った。その結果、変異を持つ19遺伝子を同定した。発症していない家族でホモの変異を持つ遺伝子を除くこと、変異によりもたらされる機能解析を行うことで、原因遺伝子を同定する。
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