研究概要 |
研究実施計画に則り実験を行い、以下の新たな知見を得た。(1)Themis(Gasp)-Tgマウスの解析:Themis過剰発現マウスにおいて、TCR刺激によるIL-2の産生が亢進していることを新たに見出した。逆にIL-4の産生は減弱しており、単純なシグナル伝達の増強ではないことが示唆された。(2)シグナル伝達解析:OT-I-TCR-Tgマウスを用いて詳細に検討したところ、Themis-KOの選択前DP細胞においては、TCR刺激によるERKの活性化には変化ないことが明らかとなった。正の選択を誘導する弱い刺激(Q4H7変異ペプチド)でも負の選択を誘導する強い刺激(OVAペプチド)でも、Themis-KOにおいて初期ERKシグナルは変化がなかった。現在までのところ、NFAT,NFkB経路のシグナル伝達においてもKOとWTとの差異は見られていない。今年度は、あらたにThemisが刺激依存性にリン酸化されることを見出した。また内在性のGrb2と構成的に結合していることも証明することができた。(3)ドメイン変異マウスの解析:CABIT1,プロリンリッチ領域(PRR)欠失トランスジェニックマウスThemisKOに交配し、Themis分子内ドメインの機能を検証した。いずれのマウスにおいても胸腺内の正の選択が阻害されており、CABIT1およびPRRドメインがThemisの機能発現に必須であることが証明された。(4)結合パートナーの探索:HA-Themis-Tgマウスの胸腺細胞より抗HA抗体で免疫沈降し、KOに存在せず、Tgにのみ存在するバンドを特定し、MAS解析によりその分子を同定した。詳細な解析を現在進めている。
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