研究概要 |
2年間で肺の呼吸由来変位量の統計モデル第一版を作成することを目標とし,学内外の病院と連携して4DMRI,複数呼吸相CT像の収集を進めている.具体的には本学医学部附属病院にて4DMRIを,宇部市セントヒル病院にて複数呼吸相CT像の収集を実施している.これまでに4DMRIについては健常者データ9例,患者データ16例を収集している.また,呼気と吸気のCTデータについては,PETの息止め撮影と連動したデータが7例収集できている. 収集したデータから算出した変位量のデータ群と解剖学的知見をもとに,変位量のモデル構築を進めている.本年は特に呼吸による動きが最も顕著にあらわれる横隔膜の体軸方向運動に着目し,4DMRIから横隔膜運動の統計的モデル化を試みた.まず,4次元MR画像から横隔膜表面の抽出を行う.被験者により横隔膜位置の分布が異なり直接的な比較は困難であるため,横隔膜画像を同一サイズの長方形に変形させることにより形状の正規化を行った.健常データの1呼吸周期の横隔膜運動を主成分分析し,主成分数と累積寄与率の関係を明らかにした. また,応用研究として,これまでに提案している異なる呼吸相の核医学画像合成法を改良した.具体的には近年のPET装置がPET-CT一体型になっていることを前提に,呼気吸気CT画像群から得られた変形情報を拘束条件に,呼吸同期PETおよび息止めPETデータの変形合成を行うというものである.呼吸同期PET画像および息止めPET画像データに適用して良好な結果を得た.
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