研究概要 |
本研究では、運動/感覚/視覚/言語関連の神経線維について、計算解剖によるFT画像をナビゲーション搭載画像として利用し、手術時にその電気生理学的検証を行ってきた。白質近傍病変を有する患者におけるDTI撮像、FT画像の作成を標準化した方法で行い、FT画像の手術ナビゲーションシステムへ搭載した。PACSシステムからのDICOM画像の効率的で安全な搭載方法を確立し、結果的にFTおよび^<18>C-methionine PET画像などを安全にナビゲーション画像として手術時に使用できる環境を整えた。上記の4神経線維の検証における研究実績を以下にまとめた。 1.運動線維:7症例で結果が得られた。白質刺激によるMEPで反応が得られたポイントと、FT画像による神経線維までの距離は相関するとされるが、我々の3次元距離計測では、現在までに有意な相関は得られていない。目的とする運動線維から4-18mmの距離で、4-10mAの刺激によるMEPの反応を計測できることが明らかになった。その際、距離と電流は正比例せず、個々の患者の脳の正常あるいは病的な状況に影響される可能性が示唆された。 2.感覚/視覚線維:電気生理学的な検証法であるconventional SEP,VEPの精度、解析結果の解釈に疑義が生じ、新たなsubcortical SEP, VEPの開発を行った。Subcortical SEPについては未だ有意な結果を得られていないが、subcortical VEPでは5症例で視覚刺激:白質電位測定、白質刺激:皮質電位測定に成功し、新たな検証法として報告した。 3.言語関連線維:6症例の覚醒手術で結果が得られた。4mAの刺激強度でFT上の線維から4.5mmから11.7mmの幅をもって言語症状が出現した。この値は、今後の覚醒手術あるいは検証研究を行う際の指標となりうることが判明した。
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