本研究では、消化器がん(胃がん・大腸がん)を対象とし、医用画像データの収集・人体解剖情報解析を行い、計算解剖モデル構築の基礎となるデータベース構築をすること、また本学術領域で開発される診断治療支援システムの臨床での使用と評価を行うことを目的としている。 1.消化器がん患者の医用画像・解剖情報データベースの構築:当該年度に、92症例(胃がん82例、大腸がん10例)に対してCTもしくはMRIを撮影、画像データを収集した。2010年3月以前に当院で研究用に収集されたデータ56症例とあわせ、全体で148症例の画像データベースを構築。収集した画像の臓器セグメンテーションデータを109例分作成した。うち胃がん症例97例について、解剖情報を解析、分類し、手術に必要な人体解剖データベースを構築した。また手術を行った症例については、術中に解剖を確認し、術前解剖診断の正確性を評価した。 2.診断治療支援システムの臨床応用と評価:本学術領域の計画研究項目A02で開発された腹腔鏡手術ナビゲーションシステムについて、臨床使用し、評価した。光学式位置計測装置を用い、術中腹腔鏡の位置をリアルタイムに計測、術中視野に相当する術前3次元CT画像を表示するシステムである。胃がん腹腔鏡手術12例において使用、おおむね良好な結果が得られたが、画像の一致度、操作性など、今後改善すべき課題も明らかになった。 3.術前診断プロセスの解析について:術前3次元CT画像における、血管解剖診断時の診断医の観察視点(どの角度から画像のどこを観察しているか)のデータを現在15例分収集した。現在解析しており、その結果は術前診断時の3次元画像表示の自動化に応用する予定である。
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