公募研究
本研究では、YbFやPbOなどの低速分子ビームの生成法や極低温分子のトラップ方法を確立し、それらを用いて、電子のEDMの測定を行うことを目的としている。本年度は主に、低温分子ビームの生成のためのヘリウムバッファーガス冷却装置の開発と、分子ビームの集束・減速のためのマイクロ波共振器の開発を行った。本年度の前半は優秀若手海外派遣事業により、カナダのブリティッシュコロンビア大学の百瀬教授らと共同で、超電導マイクロ波共振器の開発を行った。銅製の空洞共振器の内壁に鉛と錫の合金をメッキし、7K以下に冷やすことで、非常に高いQ値の共振器を作成することができる。これを用いて高強度のマイクロ波と分子の相互作用を利用して、効率よく分子ビームの集束・減速を行うことができると期待される。分子ビームが通過できる形状の共振器を作成し、実際に30万以上の高いQ値が得られていることを確認した。帰国後はバッファーガス冷却装置について、まずRb原子を用いて分光学的手法により低温原子ビームの性能評価を行った。低温セル内でのレーザーアブレーションにより、セル内に10^<12>個程度のRb原子が生成し、その数%がセルにあけた小孔からビームとして得られていることなどを確認した。また、有限要素法による電磁場解析ソフトウェアを利用したマイクロ波共振器の設計改良や、1500℃程度のオーブンから分子線を飛ばして低温セル中に打ち込んで流量の安定した低温分子ビームを得るための実験装置の作成を、現在進めているところである。
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Proceedings of 4^<th> International Workshop on Fundamental Physics Using Atoms 2010
ページ: 56-59
Physical Review Letters
巻: 104 ページ: 253001
http://www.sci.u-toyama.ac.jp/phys/4ken/