研究概要 |
平成22年度はヘビークォーク(HQ)を含むバリオン(HB)のうち、Λ_c,Σ_c,Σ_c^*と核子およびHB同志間の相互作用を有効理論に基づいて求め、バリオン2体系の分子的束縛状態の可能性を追求した。その結果次の成果を得た。 (1)HQを含むバリオンの相互作用を、中間子交換力の描像を用いて解析した。中間子とヘビーバリオンの結合定数は、HQ対称性とカイラル対称性に基づく有効相互作用ラグランジアンを用いて決定した。主要なパラメータとして、短距離部分を弱める形状因子のカットオフがある。 (2)求めた中間子交換力を用いて、HB2体系の束縛状態の有無を詳細に検討した。特に、HQ対称性によればΣ_cとΣ_c^*の質量差が小さいため、パイオン交換のテンサーカによるΣ_c,Σ_c^*の混合の役割が重要であることを指摘した。定量的にその効果を取り入れるために、Σ_c,Σ_c^*を含む状態とのチャネル結合を含む2体系の計算を行った。その結果、想定されるカットオフの範囲内で、Λ_cNのスピン0,1の状態に束縛状態を予想した。 (3)同様の計算をチャームを2個含むΛ_cΛ_c系についても行い、同じくΣ_c,Σ_c^*を含む状態との結合により束縛状態が存在する可能性が高いことを示した。
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