CERN研究所のLHC加速器において、LHCf実験検出器を用いて衝突超前方における放射線環境の測定を行った。LHCにおいて陽子陽子衝突輝度10^<31>cm^<-2>s^<-1>近くまでの安定した装置の運用に成功し、2010年7月に測定を終了した。取得データを用いた中性パイ中間子の不変質量ピークの導出に成功し、被曝量の絶対値測定が可能なことが明らかになった。本測定データをモデル計算と比較することにより、加速器最前方の放射線環境予測の検証、改善が可能になる。 放射線医学総合研究所HIMAC加速器において、高い放射線耐性で知られるGSOシンチレータに高強度炭素ビームを照射しその応答の変化を測定した。被曝・非被曝の2つのサンプルをそれぞれ2台の光電子増倍管で測定する冗長測定によって、以下の知見を得た。1、GSOシンチレータの発光量は1MGy近くの被曝まで減少することはない。2、GSOシンチレータの発光量は1kGyを超えたあたりから最大20%の増光を示す。3、2の増光は室温状態で時定数4時間め自然回復を示す。増光は先行研究によるガンマ線照射によっても報告されており、イオン照射時のGSOシンチレータの特性変化が原子核反応によるものではなく、化学的変化であることが明らかになった。今後、GSOシンチレータを用いた各種実験を設計する際の基本情報を与えることができた。 GSOシンチレータを用いたLHC Luminosity monitor試作機を製作した。LHC Luminosity測定担当者と、LHCでの試用のタイミング図ったが、実際の設置、運転には至らなかった。
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