公募研究
A(1405)バリオン励起状態やスカラー中間子f0(980),a0(980)は、それぞれ、反K中間子と核子、K中間子と反K中間子を主成分としたハドロン相互作用によって作られた自己束縛系であるハドロン分子状態で記述される可能性が高まっている。このようなハドロン分子状態は、通常のクォークから作られているハドロンに比べて、大きなサイズを持つと予想されている。本研究では、このような2体系の知見を応用して、反K中間子-K中間子-核子および反K中間子-K中間子-K中間子の3体系でも同様な準束縛状態が作られるかを調べた。カイラル動力学に基づいた相対論的Faddeev法と非相対論的ポテンシャル模型の2種類の方法を用いて、それぞれの系で3体分裂しきい値近傍でハドロン準束縛状態を作ることがわかった。ポテンシャル模型では構造についても詳細な計算を実行し、このようなハドロンが大きなサイズを持つこともわかった。また、このようなハドロンの構成要素となりうるΛ(1405)の構造を詳細に知るために、有効な反応プロセスや物理量を提案し、今後行われる実験に対して重要な示唆を与えた。このようなエキゾチックハドロンの構造を実験的に確認することは非常に重要な意義がある。そのために、高エネルギーの重イオン衝突によるさまざまなハドロンの生成率を見積もり、ハドロンの構造によって生成率に優位な差が出ることを突き止めた。このことによって、重イオン衝突でのハドロン生成率がハドロンの構造を知る手がかりになりうることを示した。
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